ほんとのキミを、おしえてよ。
みんなに別れを告げて、自転車にのって家へと向かう帰り道。
凍てつく夜風が頬を撫でていく。
お疲れ様って笑った五十嵐くんの笑顔が私の頭上にぽわんと浮かぶ。
中村さんって呼ぶ声が耳元で聞こえるような気がする。
これってもしかして。
私……
五十嵐くんのファンになっちゃったのかな!?
それまでぼんやりとしていた瞳をきっと開いて自転車に急ブレーキをかける。
ここ数日五十嵐くんと一緒にいたせいで五十嵐くんの溢れる魅力に刺されてしまったの!?
なんてこった!
ゆっくりと自転車を漕ぎ始める。
同時にライトもつけて必死に頭を巡らせる。
私真紀と同レベなの?
私もそのうちあの変な規則に則って自分のことお姫様とかいいだすのかな?
えー、やだなそれは。
いや、決してファンクラブのみなさまをバカにしているわけじゃないんだけど、でもやっぱりお姫様はないだろーよ。
なんて誰も聞いてなんていないのに一人で弁解をしていると、いつの間にか我が家に到着していた。
自転車をいつもの場所に止めて鍵をかけて、そのまま家に入ろうとドアの前に立つ。