ほんとのキミを、おしえてよ。


「あの、私今日家出るときにお母さんがいて、鍵閉める必要なかったんで持って出かけなかったんです。だけどよくよく考えると帰るときにはお母さん出かけてる時間だから鍵持って出なきゃいけなかったんです!」


なんたることだ!
落ち着いて考えたらすぐわかることなのに!

焦りすぎて鍵を持って来たと疑わなかった数十分前の自分を殴ってやりたい。


「なるほど、てかなんで敬語?」


「いや、もう申し訳なさすぎてですね……」


私が地の果てまで落ち込んでいるとふと五十嵐くんが思い出したように顔を上げた。


「中村さんはこれからどうするつもり?もう夜遅いし、ご両親は何時頃帰ってくる予定?」


これから……

あそっか、鍵がないってことは家に入れないのか。


「あ、えと、今日二人とも今日は共通の友人の結婚式に出てるから泊まって来るみたいで……」


できれば野宿だけは避けたい。
夏はまだしも冬の野宿は本気で凍えそうになる。

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