ほんとのキミを、おしえてよ。
「ってことは帰ってこないの?」
お風呂あがりのせいか、いつもより長い前髪から不安そうな瞳が覗いてる。
これ以上、迷惑かけるわけにもここに居座るわけにもいかないよね……!
「でも大丈夫だよ!家には入れなくても、おばあちゃん家いけば泊まれるし」
「中村さんのお祖母さんの家って近所?」
うわ、なにこの鋭い切り込み。
絶対遠いのがバレてるんだろうなと思いつつ
「え、あっとーうん!まあ、大丈夫だよ」
誤魔化してはみるものの……
「中村さん。どこ?」
ああ、五十嵐くんが笑顔で圧力をかけて来る。
「……隣の県です」
結局素直に言うことしかできない。
「今から行ったら時間も金もかかるよ」
「いや、でも大丈夫だよ!私健康だし、一日くらい公園で寝てもここ日本だから安全だし……とりあえず今日はありがとう!また明日」
最早こうなったら仕方ない。
出来るだけあったかい寝床でも探そう!
そう思って一刻も早く立ち去らねばと背を向けた、その時。
「待った」
右の手首を強い力で五十嵐くんに掴まれる。
反射的に立ち止まって振り返ってしまう。