ほんとのキミを、おしえてよ。


「あ、でも私歯ブラシとか持ってない……」


制服着て着ちゃったから明日の服には困らないんだけどさ。
やっぱり虫歯になるの嫌だし。もっというと虫歯治療するのやだし。


「大丈夫だよー!歯ブラシなら予備のいっぱいあるし服だって何か貸すし。有紗ちゃん制服着てるし明日の服は心配ないよね?それからっ」


美羽ちゃんが背伸びして私の耳に口を近づける。


「下着類もちゃんと新品のやつあるから安心して?」


「う、うん。ありがとう」


さすが五十嵐くんの妹、私の言いたいことを速攻で読み取ってくれる。

すべてにおいてしっかりしていらっしゃる。
やっぱり兄妹だねー、すごいわ。


でもまあ、今日が日曜なの忘れて制服着てきちゃったんだけど、それがまさかこんな形で役に立つとはね。

人間なにがおこるかわかんないもんだね。

朝制服を着た私を褒め称えてやろう。


と、その前に。


「え、えっとじゃあ……本当に、いいの?」


最終確認をしようと五十嵐くんへと目を向ければ


「もちろん」

いつものように優しく笑っている。


ああ、やっぱり如来様だ!
如来様がここにいるよ!

拝んどこ、どの神様よりも絶対御利益ある。

今度、日を改めて菓子折り持って感謝の念を伝えに伺わなきゃだね。


よし。

足を揃えて背筋を伸ばし、


「一晩だけ、お世話になります」


独り言のようにつぶやいてそっと頭を下げた。


< 226 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop