ほんとのキミを、おしえてよ。
多分上京してきた若者にこの料理食べてもらったら百発百中で『お袋ぉおお〜!!』って泣き出すね。
本当に商売出来そうなくらいね。
なんか五十嵐くんって王子様イメージが定着してるから勝手にコース料理でも出てくるのかと思ってたけど、それはなかったね。
まあお袋の味を普通に再現出来てしまう五十嵐くんもそれはそれでいつもながら超人なんだけどさ。
突然来て何もせずにただ飯をする、なんとも迷惑極まりなかったから、私もせめて片付けくらいは……!と思って手伝おうとはしたんだけど
『有紗ちゃんはお客さんだから』っていう美羽ちゃんの笑顔にやんわり断られてしまった。
で、美羽ちゃんにお風呂に連れられ貸してもらって今に至る、と。
窓の外に目を向けると真っ暗な空に細々とした街灯が見える。
木の葉が揺れて、寒そうな風が吹いている。
ここで野宿とか、割と自殺行為だったわ。
あの時とめてくれた五十嵐くんに改めて感謝しなきゃね。