ほんとのキミを、おしえてよ。


「いや、俺は全然いいんだけど……なんつーか、その、昔の服だしそんな綺麗じゃないけど、いいの?」


申し訳なそうにうつむきがちになる五十嵐くん。


「大丈夫だよ!着させてもらえる服があるだけで幸せだし。っていうか五十嵐くんと同じ匂いに包まれて嬉し」


やばい。

私、今変態みたいなこと言いかけたよね?

無意識だ!変な意味は含んでない!

だけど、あああ!
ほら、五十嵐くんも気まずそうに目を逸らしてるよー!

もう、私が変な言い回しするから!早く撤回しないと……!


「ご、ごめん!とにかくちゃんと洗濯されてて綺麗だし……柔軟剤!柔軟剤のいい匂いするから大丈夫だよ、ありがとう」


「あ、うん。それなら、良かった」


そう言って五十嵐くんは視線を勉強道具に向けた。


よし。ひとまず、事は落ち着いた。
はい、おっけー!解散!


って、そんなわけないですよねー!!

自分の勉強道具を探すふりしてちらりと五十嵐くんを見れば、動揺したように目が泳いで勉強なんかに集中してないこと一目瞭然。

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