ほんとのキミを、おしえてよ。


「五十嵐くんなんだ、これ」


五十嵐くん、本当に慈善活動してんの?
なんて思っていたら、

「有紗ちゃん、あのね!」


美羽ちゃんが突然私の手を強く握って、真剣な目で見つめてきた。


「う、うん。どうしたの?」


中一に迫力負けするって高二としてどうなんだろうか、という考えが一瞬頭を過ったけどすぐに諦める。

だって五十嵐くんの実の妹だもん。敵うわけない。


「それね!その瓶ね、有紗ちゃんがお兄ちゃんにあげたやつ、なんだよっ」

キュッと一度強く私の手を握り、こくりと頷く。


「え、」


なぜかガンッと頭を撃たれたような感覚。
それから心拍数が上昇する。

私があげた、やつ?


それは……えっと、いつのことだ?

五十嵐くんに関する情報を脳内で検索かけて、引っ張りだす。


と、一つの記憶と合致する。


「あ、もしかして美羽ちゃんが風邪引いてた時の?」

「それ!」


ぱああっと嬉しそうに咲く美羽ちゃんの笑顔。

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