ほんとのキミを、おしえてよ。
「ああ、大丈夫だよ。俺たまにここで寝てるし。それよりも中村さんが……っ!」
私がゆっくりと顔を上げるとばっちりと瞳があってしまった。
コンマ0秒の速さでお互いに目をそらす。
昨日の今日じゃいくら寝たって、さすがに忘れられない。
きっとそれは五十嵐くんも同じで……
そうだ、だって私昨日のこと考えて気づいたら寝てたんだもん。
ため息混じりにぽわんと浮かぶ五十嵐くんの言葉。
あの、一晩忘れられなかった言葉がよみがえって必死に追い払う。
「で、でさ!二人ともなんで手握ってたわけ?」
話題を変えようと五十嵐くんの明るい口調が聞こえる。
「あの、この空き瓶が、その……」
瓶に目を向け、ぎこちなく歯切れが悪い私に五十嵐くんはすぐに勘付いた。
「美羽、お前なんか言ったな!」
美羽ちゃんに詰め寄る五十嵐くん。
あああ!どうしよう、珍しく五十嵐くんの口調が……
私の、せいなのか?