ほんとのキミを、おしえてよ。


そういえば前に真紀が五十嵐くんはモテるけど告白自体はそんなにされないって言ってた。

舞い上がるのも無理はない、か。

きっと亜美さんの告白が五十嵐くんにとっては初めてて、すごく嬉しかったんだ。


「で、さ。亜美と付き合ってからデートも何度かして、俺としては大切にしてるつもりだったし、同じように亜美も楽しんでくれてるんだって信じて疑わなかった。クリスマスのサプライズとかも密かに計画してて俺は尽くしてるつもり、だったんだよな……でも、」


そこで一旦言葉を区切り、かつてに思いを馳せ、苦しそうに顔を歪めた。


「でも三ヶ月くらい経ったある日、俺が日誌を担任に届けて教室に戻ったら、さ。クラスでムードメーカー的なやつと亜美が……その、キス、してたんだよな」


「え」


思わず声が出て、五十嵐くんがこっちを見る。

ああ、どうしよう。

何も言わないで話聞くつもりだったのに。あまりの衝撃でつい。

だってだってあの五十嵐くんだよ?
完璧王子様って呼ばれるほどに素晴らしい五十嵐くんに張り合える男子とかいるの?

五十嵐くん以上に、何を求めるの?

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