ほんとのキミを、おしえてよ。
「情けねーよな、いつまで経ってもこんなに自分に自信が持てないんて。
だから特に、花那と晴みてるとすげーなって思うんだ。お互いを信頼してて大切にしてて。
例えすれ違っても必ず元に戻って。たまにその真っ直ぐさが、あの素直さが羨ましくなるんだよ。
最低だよな、俺。二人が近くで幸せそうなの見て嬉しいって思ってるはずなのにいつもどっかで嫉妬してんだよ。
俺さ、中村さんがいってくれるほど良いやつでもなんでもねーんだよ」
「……」
違う、きっと五十嵐くんはいつだって他の誰よりも花那ちゃんと晴仁くんの幸せを願ってるよ、って思ってるのに声にならない。
「湿っぽい話しちゃって、ごめんな。もうそろそろ帰ろうか」
五十嵐くんが立ち上がって出口に向かって歩き出す。
「……うん」
先を歩く五十嵐くんに、何も言えなかった。
どんな顔してるのかは、容易に想像できるから余計に何も言えない。