ほんとのキミを、おしえてよ。


もう、前みたいに肩を貸すことさえも、出来ないなんて。

五十嵐くんは私を頼ってくれてたのに、辛いって言ってたのに。


どうしてもっと早く、気づいてあげられなかったんだろう。

なんで、完璧な五十嵐くんしか見てあげられなかったんだろう。

美羽ちゃんだって言ってたのに、『お兄ちゃんは完璧なんかじゃない』って。


それなのに、そんなの忘れて目が見られないとか言って私は。

もう、自分のことばっかりだ。


手のひらを握って悔しさをこめる。


前を歩く五十嵐くんを見つめると、背中がひどく弱々しく見えた。
< 269 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop