ほんとのキミを、おしえてよ。
もう、前みたいに肩を貸すことさえも、出来ないなんて。
五十嵐くんは私を頼ってくれてたのに、辛いって言ってたのに。
どうしてもっと早く、気づいてあげられなかったんだろう。
なんで、完璧な五十嵐くんしか見てあげられなかったんだろう。
美羽ちゃんだって言ってたのに、『お兄ちゃんは完璧なんかじゃない』って。
それなのに、そんなの忘れて目が見られないとか言って私は。
もう、自分のことばっかりだ。
手のひらを握って悔しさをこめる。
前を歩く五十嵐くんを見つめると、背中がひどく弱々しく見えた。