ほんとのキミを、おしえてよ。


本当、ダメだなあ。

こんな大切なものでさえも、すぐにどっかやっちゃうんだから本当に必要なときに困るんだよ。

もっとちゃんと管理しなきゃな。


ノートに少しだけ被ってる埃を指先で払った。

懐かしいな、これ書き始めた頃はこんなに書くこと増えるなんて思ってもみなかった。

寝っ転がったままでノートを開く。

この中に解決の糸口があればいいのにな、なんて思いながら。


一ページ目、一番初めに飛び込んでくるのは勝手に五十嵐くんにつけた五段階評価。
授業態度も姿勢も字の綺麗さも全部完璧だった。

王子なんだから完璧じゃないわけないって初っ端から真紀に笑われたっけ?


一発芸をしてくれた五十嵐くん。
思ってたよりもクオリティはかなり高くて思い出すだけで自然とにやけてしまう。


ページをめくればめくるほどその時のことが思い出されて胸が高鳴る。


『王子様検定』が存在するほど人気な五十嵐くんのファンクラブがあるってことも知った。


すでに素晴らしかった五十嵐くんの小学校時代のことも書いてある。


それから、妹思いの五十嵐くんのことも。

糸を針穴に通すのが遅い五十嵐くんも。

悪口なんていわない、裏も表もない性格の持ち主であることも、


全部私が時間をかけて見つけてきたもの。

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