ほんとのキミを、おしえてよ。
「もう!何言ってるの、有紗ちゃんらしくもないっ」
「か、かにゃひゃん?」
突然、花那ちゃんの両手が私のほっぺを挟んだ。
ぷくっと頰を膨らませたかわいいオプション付きで。
「だって、有紗ちゃんが教えてくれたんだよ!どんな事も、遅いことなんかないって」
花那ちゃんがこれ以上ないってくらいに満面の笑みを浮かべた。
「本当に、今更なんて思ってる有紗ちゃんじゃないでしょ?
いつもの有紗ちゃんなら気づいた時がスタート地点ってきっと言ってる。
だから、有紗ちゃんは有紗ちゃんが思うようにしたらいいと思う。
柊くんだってきっと、ずっと前から導いてくれる手、待ってる。
有紗ちゃんは今一番、何がしたい?」
花那ちゃんの言葉が自然と胸の奥へと沈んでいく。
目の前に、道が。
暗くなって見えなかった迷路になってた道が、一本道になってぱっとひらけた。