ほんとのキミを、おしえてよ。


泊まりに来たときの驚きと困惑が混ざり合った表情。

風呂上がりの火照った顔。

髪からは俺と同じシャンプーの香り。



俺の部屋で勝手に寝だす無防備さ。


思い返すだけで、勝手に上昇する体温。


『菩薩っていうか、如来様みたいだと思ってます!』って言葉。


俺が聞いてんのはそんなんじゃねーよ!!って全力で突っ込みたかった。


そんなんじゃなくて、本当は……本当に聞きたかったのは別にあるんだ。


俺ばっか意識して、焦って焦って戸惑って。中村さんも意識しろよって思った。


俺の前で安心してくれんの嬉しいけど……

でも無防備すぎて、こんなんじゃ他の男に隙を見せまくりで不安だった。

そう思うと無性に焦ってイラついた。


俺だから、無防備でいられるってことだったらいいのにって思った。

無防備でいて欲しくて、でも俺を意識して欲しい。ここ最近そんな矛盾に揺れていた。


『俺だって何もしないとは限らないから』


本当はあの時の言葉の意味だって自分ではもうわかってる。

落ち着かないのも、目を逸らす理由も。

自分のこと考えようとすると中村さんが出てくる理由も。

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