ほんとのキミを、おしえてよ。


ふと、廊下を走るの中村さんを思い出した。

毎回注意してたのは優等生に見られたかったわけじゃない。

中村さんが全力疾走するとスカートがめくれそうになるから止めてたんだ。

そうとも知らない彼女は懲りなく走る。

何度言っても、毎回同じように申し訳なさそうな反応をする。


今回のことだって。

いつもそうだ、自分が見つけた道を100%信じて走ってる。


きっと俺が止めても聞かないんだろうな。

だったらせめて、俺の目の届くところにいてくれよ。


危なっかしいから、そばにいてくれ。

俺が守ってやれる範囲にいてくれよ。



中村さんの身に何かあったら今度こそ俺は……


「行けよ」


笑顔の晴に一度頷いてみせる。

いつからだろう。

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