ほんとのキミを、おしえてよ。


俺を意識して欲しいと思ったのは。

中村さんといると甘い動悸がしてくるのは。

二人でいるとどうしようもなく息が詰まるのは。

それが心地いいと感じるようになったのは


もっと一緒にいたい、話したいと思うようになったのは


一体いつからだろう。


こんなにも俺は、中村さんに……


「もう〜〜早く!」


美羽に背中を押された。

今更気付くとか本当おせーよ。

大切なものくらい守れなくて、なに被害者ぶってんだよ俺は。


自分の感情くらい、自分で把握しろよ。


ローファーを履いて、ぐっと足に力を入れた。


「あのさ最後に一言いいか?」


玄関のドアノブに手をかけ、走り出そうとして振り返る。

まだ、言い忘れたことあった。

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