ほんとのキミを、おしえてよ。
「亜美さん、時間ないんだよね。だったら無駄口叩かないで私の話聞いて?」
そういうと亜美さんは不服そうに口を噤んだ。
「それに私は『五十嵐くんにもう二度と会うな』って言いに来たんじゃないよ、むしろ亜美さんには五十嵐くんに会ってもらいたくてここに来たんだから!」
亜美さんが都合のいいように、勝手に話進められたって困る。
私は亜美さんに会わないで、なんてこれっぽっちも頼みたくないんです!
ご希望に添えなくてすみませんね。
先にケンカ売ってきたのは亜美さんだよ?
私、売られたケンカは買わせていただく主義なんで。
「は?亜美、意味わかんないんだけど」
亜美さんは気にくわないという表情を浮かべ、ため息をつきながら腕を組んだ。
やっと本当の亜美さんが見られた気がする。
もう友好的な笑顔も柔らかい言葉も亜美さんからは伺えない。
「私が考えたスリーステップ!
ステップ1、五十嵐くんの良いところを亜美さんにすべて教え込む。
ステップ2、亜美さんに逃がした魚はでかかったと後悔してもらう!
そしてステップ3、五十嵐くんに中身ないって、つまんないって、言ったこと訂正してもらう!これでどうだ!!」
1、2、3と指で形作って示して詰め寄ると、亜美さんは一度真面目な顔を浮かべてそれからぷっと吹き出した。