ほんとのキミを、おしえてよ。


「中村さん、何してんの?」


と、ラスト一ページを眺めていると五十嵐くんが職員室から戻ってきていた。


「あ、美羽が言ってたのはこれのことか」


私の前の席に座って、ノートを覗き込む。



「え!美羽ちゃん言ってたの?」


もう、美羽ちゃん。照れるじゃないの。

五十嵐くんに知られてないつもりだったのに。


「昨日聞いたんだよ、中村さんが俺の弱点ノート書いてるって」


って昨日だったのか。


「なあ、最後のページ。俺が書いてもいい?」


「え、あ。どうぞ」


私が言うと五十嵐くんが自分の方向にノートを向けた。


まさかまさか自分の弱点を教えてくれるなんてそんな人がいるんでしょうか?

いや、ここにいるね。


私のペンを握って、いつもの通りお手本みたいな綺麗な文字で記された。


逆さまに見るノートってなんか新鮮……

< 343 / 348 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop