ほんとのキミを、おしえてよ。
「そばにいてよ」
五十嵐くんが近づく。
吐息が耳に当たりそう。
五十嵐くんの手が優しく私の髪に触れた。
そんなの言われなくたってそばにいます!
ウザいくらいにつきまとってやります!
五十嵐くんはかっこよくてみんなの王子様で憧れで気が利いて優しくて友達思いで家族思いで欠点なんて何もない……ように見える。
でも、そんな五十嵐くんにだって後悔してることだってあるし間違えることだってある。
だからそんな五十嵐くんをたくさん見たいんだ。もっともっと知りたいから。
もうすこしだけ五十嵐くんを独り占めしてもいいかな?
今だけは、私の王子様ってことにしててもいいかな?
もっと笑って欲しいから。
なんて言ったら君の笑顔がみられるかな、そう考えるだけで幸せになれるから。
って、あれ?
髪に何か……と思って髪に手を当て取り外す。
「これって、こないだの……」
美羽ちゃんの誕生日プレゼント選んでた時に廃案になったのかと思ってた!
まさか、私のためにとっといてくれた、とか?
「前にハンカチ貸してくれたとき、あれよごしちゃったから代わりにと思ってさ。うん、よく似合ってる」
微笑んで、もう一度そっと私の髪を撫でる。