加賀宮先輩は振り向いてくれない


後納金等の説明が書かれた手紙やその他配布物を配ってHRは終わり。
同じ学校からここへ進学した友人達は残念ながらクラスが違うので、まあまた明日にでも会いに行こう。
鞄に配布物を入れて席から立ち上がると、クラスメイトの女の子に呼び止められた。


「結城さん、LINE教えてくれる?クラスのLINE作るから招待したくて。」


にこにこと笑いながら聞いてくるの女の子に微笑んで了承の返事をし、鞄からスマホを取り出す。
そつなく追加して、数十秒の世間話の最中。廊下がざわめいているのに気がついた。


「結城さんならこのクラスですよ!」


廊緊張して上ずった声の女子が恐らくは廊下辺りでそう言うのが聞こえると共にクラス何に甲高い歓声が響いた。
気になって声の方を向く。


「結城さん、ちょっと。」


はーん、この歓声にも納得だ。
ドアの近くで人懐っこい笑顔を浮かべる加賀宮先輩が手招きしている。


「ごめんね。私行かなきゃ。ばいばい」


クラスメイトに別れの挨拶をして荷物をもって先輩の元へ駆け足。
あー視線が刺さる。これは明日の朝が面倒だ。
加賀宮先輩の前に行くと人懐っこく笑った先輩が口を開く。


「結城さん第2体育館の場所知らないだろ?迎えに来た。」


「あ、わざわざありがとうございます。」


「おう。じゃあ行くぞ。」


先輩の後ろをついていく、廊下が嫌にに静まりかえってなんだか気まずい。
というか、先輩の後ろをついていっているからカップルより親鳥と雛鳥に見えていそうな気がする。
なんて思ったときだ。



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