加賀宮先輩は振り向いてくれない


しまりのない緩みきった笑顔で私を見ていた篠宮先輩だが、なにかに気がついたように瞬きをする。


「もしかしてお前が言ってた見学生の女の子って結城ちゃん?」


「おう。」


「っしゃい!!!これから毎日部活行くわ!!よろしくな結城ちゃん!!!」


握手を求めてきたので手を握ればぶんぶん振られる。ずいぶんと嬉しそうな顔だ。私がマネージャーになるだけでそんなに喜んでくれるとは、なんだかこっちまで嬉しい。


「おら行くぞ。」


はしゃぐ篠宮先輩を見て笑った加賀宮先輩はそういった後に、「あ」と呟き私を見る。


「結城さん、昼飯は?」


「あ、持ってないです。・・・どうしましょ。」


「俺も昼飯買うからコンビニ行くか。財布持ってるか?」


「はい。」


「俺昼飯持ってるから部室で待ってるわ!みんなで食おうぜ!じゃあな!!」


随分と元気な篠宮先輩はそう言うと跳ねるように走って靴箱へと行ってしまう。また二人っきりだ。
よくよく考えると異性と二人でコンビニに行くのは、はじめてだ。なんだかワクワクする。






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