不機嫌な恋なら、先生と

「花愛ちゃん!」

駆け寄ると、驚いたように顔を上げた。

「箱崎さん」

「良かった。いた。編集部に来ようとしてたの?心配したよ」

「あの……」

「ん?」

「違います。私、急いでいるので、言いたいことがあるなら、さっさと言ってください。ヒカリさんに言われたんですか?」

「ヒカリさんに言われてきたんじゃなくて、私の意志で探してたんだよ。メール見せてもらったから」

一度先生の方を見ると、軽く頷いてくれたから、邪魔にならないようにショーウィンドウのほうへ身を寄せた。

「箱崎さんのせいにして、すみません」と、気まずそうに頭を少し下げた。

「本当だよ。お陰でヒカリさんに怒られた」

「すみません。誰かを悪く書かないと、断れなかったんです。ドタキャンしたことなんてなかったので」

うんと頷いた。

「この前、花愛ちゃんが私に怖いって言ったじゃない?」

「はい」

「実は知らなくて。私、花愛ちゃんの痣のこと。だから、相談とか言われてもなにが怖いのかも良くわからなくて。それを見せるのが怖かったって意味であってた?」

そこで彼女は頷いた。
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