不機嫌な恋なら、先生と
「ごめんね。自分の思い込みでKAMAさんのことが不安だったのかと決めつけて、花愛ちゃんの気持ち、ちゃんと聞けなくて」
「いいえ……私が悪いんです。箱崎さんに事情をきちんと話すか、ヒカリさんに話をしてみればよかったんですけど……箱崎さんと話をしたら、余計に逃げられないものだと思って、やるしかないとは思ったんです。だけど……」
言葉を詰まらせた。
「花愛ちゃんさ、ヒカリさんと今回の企画について打ち合わせしたとき、一度受け入れたのは、なんでかな?本当はやってみたいって思ったからじゃないの?ただ返事をしてから、怖くなってきただけで」
そう訊くと俯いた。
「そうだったんだ。そっか……でも花愛ちゃんはさ、痣があるかもしれないけど、可愛いし、スタイルいいし、正直羨ましいよ。恵まれてると思うくらい」
やめてくださいと、噛みつくような目をして言った。
「それは箱崎さんは、肌がきれいだからそういう感覚で見れるんです。
私は……小さい頃からこれで、母にも可哀そうって言われて、痣のことで迷惑もかけてきました。
いろんな治療もしてきたけど、それでも治らなくて……変な目で見られることもあったし、我慢しなきゃいけないことも沢山ありましたから。
そういうこと、どれだけ気にして生きてきたかわからないです。
さらしものじゃないんです」
「うん。さらしものじゃないよね。だって恥ずかしいことじゃないもん」
「それは見たことないから、言えるんです。見ますか?私の痣。目をそむけたくなりますよ」と私を威嚇する様に言うから、なぜか悲しい気持ちになった。