不機嫌な恋なら、先生と
「どうした?」
「いいえ。先生、意外に可愛いなと思って」
選んだケーキの中に雪ダルマのレアチーズケーキがあったからだ。これを買ってる先生を想像すると可愛くて笑いたくなった。
「可愛いの好きそうだから」
「食べるのもったいないですけど、喜んでいただきます」と、それを選んで、申し訳ないけどフォークを刺して一口食べた。
「美味しい」
先生はプレーンのチーズケーキを選んで、ケーキフィルムを外している。
ああ。今日はクリスマスなんだと、改めて思った。
色々あったな。花愛ちゃんにドタキャンされたし、突発的なことして怒られたし、残業だし、でも先生とケーキ食べてるし。
変な一日だったけど、すごく充実していた。
「先生?」
「ん?」
「私、この前、先生にその日がクリスマスだったら、良かったって言いましたけど、今日クリスマスで良かったです」
「なんで?」
「先生、この前、言ってくれたじゃないですか。集中すればなんでも面白いって、あれって、本当だなって実感できたので」
「言ったけ、そんなこと」
「言いましたよ……先生は、気づいてたんですね。私が仕事に対して、意欲的じゃないってこと」
「さあ、どうだろうね」とそっけなく言う。