不機嫌な恋なら、先生と
それから、また前むきに仕事を頑張るまどかは、徐々に聖也のアドバイスの意味を理解していき、あんな風に彼に言ってしまったことや、彼との間に距離がでてしまったことに後悔していく。彼との思い出に浸っていくうちに、恋心を自覚し始める。
しばらくしてから、彼から写真の個展の案内状が届く。日にちはバレンタインだった。謝罪と本当の気持ちを伝えようと、生チョコレートを作る。
当日、そこに展示されている写真の中に、まどかがいた。
化粧もせずくつろいだ姿は、あどけなくもあり、悪くいえば、すごく気を抜いているといっていいものだった。
こんなの展示する?許可をとってよと言いたくもなったけど、ファインダーをのぞく彼が優しい目でまどかを見ている気もして、泣きたくなった。タイトルには、「光」と書いてあった。
まどかは思い出した。聖也が高校を中退した後に、まどかは別の道を選ぶ彼が向かう先は、光の中なんだろう、そうであってほしいとも祈ったことを。
彼にとっても、私の未来がそうあって欲しいという意味であるのだろうか。それとも彼にとって、自分は光のような存在だということなのだろうか。
分からない、だけど伝えなきゃと、まどかは、一歩踏み出した。