不機嫌な恋なら、先生と

「あれ?二次会どこ行くんです?」と、私はヒカリさんに尋ねた。

「花愛がKAMAさんの店行きたいって言ってたし、この前出てくれたお礼もかねて行こうって話になってるよ」

「えっ? まじですか?」と、固まる沙弥子さん。確かKAMAさんは、高校の先輩で仲があまり良くなかったと言っていたことを思い出した。

だけど酔っ払った編集長もその気になっていたから、今更行きたくないとは言い難い雰囲気にただ苦笑いしていた。

新宿二丁目に行くのは初めてだった。

KAMAさんのお店は私の想像とは違った落ち着いた雰囲気のバーだった。カウンターにテーブル席もあり、そこはいっぱいだった。私たちを見た瞬間、顔を輝かせたかと思うとすぐに曇らせた。

「あら嫌だ。小娘たちだけじゃないの」

カウンターに手を置き、「来てやっただけ、ありがたいと思ってくださいよ」と、沙弥子さんは物怖じせずに言う。
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