不機嫌な恋なら、先生と
ふと携帯を見ると、先生からメールが届いていた。
開くと、『まだ飲んでた?』とだけある。
『はい。今、二次会で、KAMAさんの店に来てました』と返信する。
『そっか。なんとなく心配したけど、あの店だったら、大丈夫かな』
先生は、どうして連絡をくれたんだろう。どうして私の心配をしてくれるんだろう。
先生の家に泊まった日に気づいた気持ちは、終わりにしたはずなのに、結局こんなメールひとつで、期待してしまっている。
先生は、ずるい。
いつも簡単に、私の心を揺るがせるんだから。
今、ここにいないのに、こんなに考えさせるんだから。
先生に会いたい。先生に好きになって欲しい。先生の近くにいたい。
そう言ったら、どんな顔をするんだろう。どんな言葉をくれるんだろう。
嫌われてはないと思う。むしろ、お詫びでもご飯に誘ってくれたってことは、好意的に見てくれる面だってある。
だけど、期待しても、もしかしてと思っていたことが、また違うのではないかと思うと怖くなる。
しかも相手が同じ人なら尚更だ。
また同じような勘違いをして恥なんて晒したくない。
怖ければ怖いほど、その気持ちが大きくなる。
ちゃんとした恋に憧れはあるのに、先生を好きだと自覚したのに、いつもそこばかり見てしまう。
あの時みたいに、自分の勘違いで、先生はそんなこと思ってなくて――。