不機嫌な恋なら、先生と

だってあれから、自分自身、現実と思考が一致していないんだ。

あれから数日しか経っていないのもあるけど、先生は忙しそうだし、私も撮影があって朝は早かったり、残業で遅かったり不規則な勤務が続いていて、会えていない。

それにデートらしいしデートもしていないのだから、恋人という実感がない。

そしてようやく、次の土曜日に先生の家で一緒にご飯を食べる約束をした。




その日、近くのスーパーで買い物をしてから、先生のマンションに向かった。

インターホンを押すとドアが開く。なぜかそこには上半身裸にスウェットのズボンを穿いた見知らぬ男の人が立っていた。

「えっ?」

頭が真っ白になる。なぜ裸?これは、先生の浮気現場に遭遇したということ?

でも、男の人だ?あれ、先生、そんな趣味があったの?

次から次へと疑問がわいて、「こんにちは」と微笑まれたけど、笑い返せるわけがない。

「もしかして、彼女さん?初めまして」

遥汰(ヨウタ)と、先生が名前を呼びながら現れたかと思うと、彼を後ろから羽交い絞めにした。
< 182 / 267 >

この作品をシェア

pagetop