不機嫌な恋なら、先生と

「え、まじ?すごいじゃん」と、私の肩を強く叩くからよろけた。

「わっ。沙弥子さん、勢いが」

「箱崎さんの夢も叶うかもね。文芸部への異動!ああっ、あたしも頑張んないとな。じゃあ、あたし、先に出るね。ごめん、お疲れ」

「あ、はい。お疲れ様でした」

私はヒカリさんを待っている間、Grantのブログ用に、撮影した写真をチェックをすることにした。

トークショーも面白かったし、今日は悩まず書けそうだと思っていると、「あれ?もしかして。なつめちゃん?」と声をかけられた。スーツを着た男性がそこに立っていた。

「あ……もしかして」

澄美が開いてくれた合コンにいた澄美の同期の子だった。確か名前は澤部くんといった。

「今日来てくれたんだ。そういえば編集者って言ってたもんね。Grantだったっけ?」

「うん。招待状来てたから。すごい面白かった。ブログにあと載せておくね」

「本当に?ありがとう。すごい良かったってめっちゃアピールしてて」と笑う。

ふいに澤辺くんは、私の肩越しに向かって、「あ、まどかさん」と、呼んだ。

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