不機嫌な恋なら、先生と

「何かおかしかった?」

「ううん。兄弟だなって思って。やることが似てるから」

「はっ?兄貴も手袋人質にするの?」

「ううん。先生のときは、手袋じゃなくて、原稿だったけど」

「性格わる」と悪態をつくと、「似てるなんて初めて言われた」と呟いた。

少し先にコンビニは見え、どっちにしろ駅までの通り道だったので、並んで歩いた。

「そういえば、なつめさんの雑誌読んだよ」

「私の雑誌って言われるほど、大したことしてないけど」

「表紙の子、すごいインパクトあったね。女の子って特に、ああいう痣とか顔に出来るとコンプレックスに感じて隠そうとするものだと思ってたから、度肝抜かれた。めっちゃかっこ良かったよ」

「本当に?良かった。そう感じてもらえる人が一人でもいると思うと、すごく嬉しい」

くったくなく話す遥汰くんには、素直さを感じられた。あれだけ悩んで決断した花愛ちゃんの思いが伝わった気がして嬉しかった。

「なんかさ、ああいう子を可哀そうとか、苦労とかしてるんだろうなって見ることが失礼な気がするというか。生き生きして、自然体で、素敵な写真だったな」
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