不機嫌な恋なら、先生と
主人公の名前はまどか。高校二年生。
私立の進学校に通っているのもあって、周りは当たり前のように進学を選ぶ人がほとんで、まどかもその一人。決められたように大学進学を志していた。
一方、同じ高校に進学した幼馴染の聖也は、高校を中退して、留学することを決めていた。幼い頃は仲の良かった聖也だけど、今は交流は殆どなく、あまり学校にも来ていないことはなんとなく知っていた。
だけど、将来カメラマンになりたいからと、精力的に活動しているらしいとは、母の話から知っていた。
しかし、中退して留学するなど、まどかにとっては考えられないことを決めたことに驚きとともに呆れた。もともと成績も良かったはずの彼に、勿体ないことをしてと苛立ちさえ感じた。
退学の日、偶然聖也が、空き教室の中に入っていくのを見たまどかはのぞき見をする。見られていることに気がついた聖也は、忍び込む細工をしているとまどかに言う。
聖也は誰もいなくなった学校の、夜から朝に変わる教室の写真を撮りたいから、黙ってくれと言った。
こんなこと普通するかと、まどかはまた呆れた。自分が高校生じゃなくなった記念に、もう見ることのない景色を見るはずのない時間に撮ってみたいとくったくなく言う。お前も来る?と、聖也に誘われる。