不機嫌な恋なら、先生と
半ば呆れながらも、校則違反もしたことのないまどかにとっては、ワクワクするような話でもあった。
そして、平気でそんなことをする聖也に言ってやりたいこともあった。まどかは、いつも自由な彼が怯える顔を見てみたいと心のどこかで思っていたからだ。
聖也の家の前で待ち合わせをする。
まだ暗い空の下を、聖也と私服で登校するのがおかしかった。暗い校舎の中を懐中電灯を片手に学校を詮索する。
まどかにとっては、まだこの日常が続いていくから感傷深い思いは湧かない。ただこんな時間にここにいることが冒険心をかきたて、少し楽しくもあった。
まどかは、聖也に高校の思い出を聞きだそうとするが、聖也はあまり答えようとしない。最後に行った場所は、聖也のクラスだった。
彼が自分の席だった場所に座ると、俺を撮ってとまどかにカメラを手渡す。
その時に、ちゃんと気がついた。彼の机の上はカラフルな色で塗りつぶされていたることに。
「これ、俺が昨日、塗ったんだ」というけど、その下には、落書きの跡がかろうじて読みとれた。