不機嫌な恋なら、先生と
そこで、自分はなんて浅はかなことをして、彼を追い詰めようとしていたんだろうと後悔した。
まどかは、本当は、そうじゃないかと思っていた。今だって、落書きを見て、やっぱりなと思ったくらいだ。学校で見かける聖也はいつも一人で、どこか浮いてるような雰囲気は、遠目からでも分かっていた。友達がいないのかもしれない、いじめられているのかもしれないと想像するのは簡単だった。
幼い頃だって、自分の好きなことばかりに一生懸命でまどかのしたい遊びはしたくないとはっきり言う聖也には付き合いきれないなと思うことがあった。それから、遊ばなくなっていったのは、自然の流れだった。
だけど、いつからだろう。聖也に何か言ってやりたいと思うようになったのは。
「自分のしたい遊びばかりしてると、誰も一緒に遊んでくれないよ」
「雄二君が、聖也のこと、我儘だって言ってたよ」
「趣味ばかり頑張ったって、将来のためにならないでしょ」
「成績いいんだから、とりあえず進学したら?お母さん、絶対、進学して欲しいと思ってるよ」
「大学でもさ、カメラの勉強できるじゃん?なんでわざわざ留学するの?」
「ていうかさ、聖也って友達いるの?」