不機嫌な恋なら、先生と
「ねえ、凛翔先生、私、先生からのプレゼント、本以外にも持ってるんだ」
「プレゼント?あれしか、あげた覚えないけど」
訝しげに眉をひそめる。先生にあの小説のことを耳打ちすると、驚いて私を見た。
「なんでそれ持ってるんだよ?」
「遙汰くんからいただきました」
「あいつ、本当にろくなことしない」と、項垂れた。
「ろくなことじゃないよ。こんなに嬉しいことなかった……これ、私の為に書いた話であってる?」
「あってるけど」
そっけなく答える。
「すごい感動したよ。ありがとう。でも先生、なんで私が友達のことで悩んでるって気づいたの?」
そのことを打ち明けたことは、誰にもなかったはずだから疑問だった。
「それは、なんか分かるよ。友達のこと話すなつめが、つまらなそうだったり、泣きながら下校してるとこ見かけたりしたら、なんとなく。強情だけど、分かりやすいから」
「強情って」
笑いあうと、先生はあーあと言いながら、開きなおったようにベンチに背中をもたれ、指先を軽く組んだ。