不機嫌な恋なら、先生と
嘘つきの夢<8年前>
中高一貫校を受験をした私が、外部の高校を受験をしたいとパパとママに相談したときのことはよく覚えている。
巷ではお嬢さん校と定着していた学校だから、なぜそんなタイミングでわざわざ苦労するようなことをと、ママは嘆くように言った。
「実は行きたい大学があるんだけど、今の学校だと大学受験に不利な気がするんだよね。
ここの学校だったら、進学実績もあるし、勉強に打ち込める環境が整ってるから」
と、学校のホームページを印刷したものやパンフレットを二人に見せた。
昔ながらの、堅苦しいという言葉がぴったりの今の学校とは対照的に、制服もなく自由な校風。
その代わり部活もないけど、生徒が主体の学校作りと大学受験へのサポートも万全のように書かれている。
「別に今の学校だって、偏差値悪くないし。受験勉強だって、できるでしょ?」
「そうなんだけど。ほらエスカレーター式で上がるから、みんなどこか気を抜いちゃうじゃない?
私、周りに勝負するぞって子がいないと勉強に身が入らないから、少し厳しい環境に行きたいんだ」
と、お願いした。
結局は将来やりたい仕事もあるからできるだけいい大学に行きたいという言葉にパパが折れて、家庭教師を頼むことになった。
別にいじめられてたわけじゃなかった。むしろいじめられていたほうがどれだけ楽だったかと想像したこともある。
それだけで学校に行かない理由ができて、私はたぶん登校拒否か中学編入でもした。
それでも高校や大学には進学して当たり前だと思っていたから、変な嘘を吐かずに高校受験をしたに違いない。
なんとなく嫌われているのかなとは思っていた。
同じグループの子から、私だけ日曜日の買い物に誘われなかったり、みんなでお揃いのストラップをつけていたりするのを見るたび、でも口に出して確認する必要も勇気もなかったから、全部見なかった振りをした。