不機嫌な恋なら、先生と

「サボって何する?いいよ。なつめのしたいことで。本でも読む?」

「それだったら、ひとりで出来るよ。じゃあ先生の面白い話、訊かせてよ」

「そんなネタみたいな話もってると思う?」

「えー。うーん。じゃあ先生に何か質問しようかな」

「質問?」

「じゃあ先生は大学卒業後、どうするの?」

「卒業後?まあ普通に就職するけど、今、色々悩んでるところだから、秘密」

「秘密?じゃあ、えっと、先生は小さいころ、何になりたかった?夢ってあった?」

「夢?」

「うん」

「うーん。小さい頃は水泳選手だったけど。あ、でも俺、小学校のときに童話のコンクールで入賞したことがあって、そのときしばらく作家になろうかなって考えて書いたりしてた時があったよ」

「え?そうなんだ。すごい」

「でも最近は全然書いてないけど」

「えーっ、もったいない。先生の書いたの読んでみたいな」

「なんかひどい話だったよ。小学校のときに書いてた小説。
学校にたてこもった生徒と大人の戦いみたいなやつでさ、あれを数年前に見つけて読み直したときは爆笑したね」

「持ってきてよ。お願い」と、両手を顔の前にあわせてねだった。

「あれは恥ずかしくて無理。じゃあまた書いたら、読ませるよ」

「本当に?約束!」

「わかった」と頷くと、「なつめはどういう話が好きなの?」と、私の本棚を見る。
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