不機嫌な恋なら、先生と

すねた私に「なんか飲まない?」と言った。

自動販売機があって、先生はブラックのホットコーヒーで私は温かいミルクティーを買った。

当たりが出たらもう一本と書いてあったけど、どっちも外れて先生は、少し残念そうに笑って片手をポケットにいれた。マグカップの取ってみたいに見えて、思わず掴みたくなった。

公園に着いて、ベンチに腰をかけた。日がでているせいかそんなに寒くない。広場を走り回る小さな子供の声も心地よく感じるくらいだ。

コーヒーを飲むと、「なつめの淹れたコーヒーのほうが美味しいな」と言った。その言葉がくすぐったかった。しばらくすると、先生はあのさと言った。ショルダーバックを開ける。

「これ」と手渡したのは包装紙に包まれた四角いもの。

「なんですか?」

「誕生日だったんだろ?」

「……あ、はい」

「プレゼント」

「え?本当に?いいんですか?」

「喜びすぎ。高くないよ」

「値段じゃない。嬉しい。凜翔先生、やっぱり大好き」

自然にそう言った自分がいて、驚いた。先生は驚いた様子もなかった。嬉しくて私がおだてたくらいに思ったに違いなかった。真に受けなかったんだ。

包みを丁寧に開けていると、先生は「性格わかるよな。こういうの開けるとき」と言う。



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