不機嫌な恋なら、先生と

「この企画に彼女も納得はしているんですが、念のため、メンタル面のフォローもしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。何かあれば言って下さい」

と、ヒカリさんは、花愛ちゃんのことを少し心配するようなことを淡々とした表情で言った。

それもそのはずか。花愛ちゃんは、友達の付き合いで編集部に遊びに来たときに、ヒカリさんが猛アプローチをして雑誌に載せた子らしいから。

ちょっとしか掲載されていなかったのに、あまりの可愛さで話題となり、そのまま流れるように読者モデルの仲間入りを果たした。

読モで連載ページがあるのは、うちの雑誌では異例なことだったから、正直もう少しいてもらいたかったけど、もともとモデルになりたいわけでもないし、就職活動に専念したいからという理由で辞めることになったんだ。

まだ大学二年生で若いのに、しっかりしていて、感じもいい。よく人気がでると勘違いして色々注文をつけてくる読モもいるらしいけど、そんなことは全くない。

編集部でも人気のある子だったし、関わりの薄い私でも正直寂しいくらいだ。

いちばん目にかけていたのは、ヒカリさんだろうし、卒業ということで花愛ちゃんが寂しく思っているとか心配しているのかもしれない。
< 78 / 267 >

この作品をシェア

pagetop