不機嫌な恋なら、先生と
「男友達と二人で食事してたんだ」
「あ……」
「彼氏じゃない人とは会わない人だと思ってたけど」
「えっと、彼は友達の友達で、数人で集まって」
「なんで二人きりでいたの?」
「えっ……と。いや、ひとりでコンビニに行こうとしたら、なんか着いてきて」
そういうと、「隙だらけだな。送るよ」と、私に言った。
「あ。大丈夫です」
「さっきの奴みたいにケンカしたいの?」
「いや。そんなことは、全然、ありません」
「行くよ」
そう言うと、手を差し出した。
「え?」
「繋ぐ?」
ドキリとした。先生は私に有無を言わせたくないとき、手を引くことがあったけど、口に出して同意を求めることなんてなかったのだから。
「なんで、ですか?」
「寂しそうな顔してたから」
「……先生はそうやって、傘に入れるみたいに、誰とでも手を繋いだりするんですね」
軽い発言にムッとして、先生より早く歩いた。