不機嫌な恋なら、先生と
更に不機嫌な再会
給湯室でコーヒーを淹れて、ミーティングルームに向かう。入社六年目の三上ヒカリさんは、スタイリストさんとファッション企画のコーデのチェック中だ。
「コーヒー淹れるのも遅いよね」
スタイリストさんが席を外していたせいか、きつめの口調で私に言った。
すみませんと、謝りながらテーブルの上に置いていく。
私はあまり彼女に好かれてないなと思うのは、こういうときに感じる。
そして私もあまり彼女が好きじゃないというのを、こういうときに気がつく。
些細なことで当たられ、些細なことだと受け止められない私を見つけるたびそう思う。
それから私も一緒にチェックをするけど、意見を訊かれることも少ない。
頼りにされてないなと感じるのはこういうとき。
正直、学生時代の勉強もアルバイトもそれなりにこなしてきた方だと思う。
社会に出ると出来る人がいっぱいいて、それを目の当たりにすると凡ミスを繰り返す私は、ああなれるのかなと首をひねりたくなる。