不機嫌な恋なら、先生と

「今更、企画変えるって、無理じゃないかな」

スケジュールも組んだし、そんな理由で中止にするのは無理がある。ヒカリさんの怒った顔が浮かぶ。プロ意識ないの?説得も出来ないの?と。

「……そうですよね。そんなの理由にならないですよね」

「恐いって、KAMAさんと会うのが緊張するのかな?テレビではずけずけ言うけど、けっこう面白そうな人みたいだし、大丈夫だよ。私達もフォローするしさ。心配しないで」

「そうですよね。ごめんなさい。急に来て、こんなこと相談して。わかりました」と、微笑んだ。

「本当にすみませんでした。じゃあ、よろしくお願いします」とドア口で丁寧にもう一度会釈をしてから出て行った。

良かったと、胸を撫で下ろした。最後だから、花愛ちゃんも気を張っていたのかな。

帰りに、先生から『返事が遅くなってごめん。無事でよかった。記憶ある?』と返事がきた。

『ありますよ。そこまで酔っぱらっていません』

『そう。じゃあ全部覚えてるんだ。良かった』

キスしたことも?と、言われてる気がして、そこで返事をするのをやめた。
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