不機嫌な恋なら、先生と

「ああどうしよう」と、落胆の溜め息を吐く。

「スケジュール調整して、どうにか別の日に撮影をしますか?それまでに花愛ちゃんをもう一度説得して」

「無理。KAMAの予定がつまってて、今日しかスケジュール空いてなかったから」

「えっ……じゃあ」

「卒業企画が台無し。あんたって本当に使えないわね」と、睨まれた。

私が悪いんですか?と、つい言いそうになるのをこらえると、「何言いあってんの?」と、編集長が声をかけた。

「編集長」

そこでヒカリさんが事情を伝える。

「ふうん。そっか。で、この企画はできる?できない?」

「できません」と、ヒカリさんは間をもって、答えた。

「じゃあ、他にページ埋められるような企画考える。代案ある?」

「KAMAは、花愛ならメイクをするとは言ってましたが、他のモデルでも可能か交渉してみます。
KAMAのメイクの特集ページでも話題性はあると思うので、補えるかと。あと埋まらないページは」と、頭の中で枠を組み立ててるみたいに考え込んだ顔をした。

「そう。じゃあ、まず花愛の卒業企画もなしでいいのね」

「……はい」

その言葉の重みが胸にのしかかった。

今後の方針がまとまると、ヒカリさんは、携帯を手に取る。手伝いますと申し出たけど、「一人でやれるからいい」と冷たく断られてしまった。
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