不機嫌な恋なら、先生と
「さっき三上にどやされてから」
見透かされた気分だった。落ち込みながらも、今回の件の原因は全て私にあるように言われたけど、本当にそうなのかって思っていたから。
モデルのメンタル面まで見なきゃいけなかったとして、私なりに花愛ちゃんの気持ちを考えて対応したわけだし、彼女も大丈夫だと言ってくれたのだから。
「正直……私がそこまで責任を問い詰められるようなことだと思えなくて。
それに、私がヒカリさんに花愛ちゃんの様子がおかしかったと伝えたところで、花愛ちゃんはドタキャンしなかったとは言い切れないし」
「八つ当たりされたとでも思ってんの?」
「まあ……」と曖昧に頷いた。
何を言われるんだろう。やっぱり社会人なんだから、報告はちゃんとしなければならないことだったし、私が悪いんだって怒られるのかな。
「箱崎はさ、自分の仕事ってどこまでだと思う?」
「自分の仕事ですか?」
「まだ自分の企画も通ったことないし、正直、アシスタントの仕事ばかりじゃん。どこまで自分の仕事だと思ってる?」
「……頼まれたことはミスのないようにしようとは思っています」
そう考えると、ヒカリさんにメンタル面を気を付けてほしいと言われていたのは確かで、それは、私の仕事でもあったかのようにも思える。
「箱崎がそういうなら、そこに責任はあったんじゃないの?ならそれも箱崎のやりたい仕事だったんだよ」
「……」
「私はさ、自分が責任を持つと決めた範囲が、仕事だと思ってやってるよ。
なんでもそう。仕事だけじゃない、恋愛とか夢とか、人生ってそういうものでしょ。
ちなみにGrantのコンセプトって何?」