レンズ越しの鼓動
その豹変っぷりに、
なんだかひどく脱力した。
……さっきの冷たい視線は!?
怒ってたんじゃないの?
「さっきまで、怒って…」
「こんなことで本気で怒るわけないじゃん。
瀬戸さん、俺のことなんだと思ってんの。」
「悪魔?」
「……コーンスープ投げるよ?」
鋭い視線で私を睨んで、
怒る“ふり”をした相田さん。
表情は作っていても、
目は生き生きとしていて、
すごく楽しそうだ。
……こんな顔して笑うんだ。相田さんって。
なんか、かわいい。
……じゃなくて!
「もう!私、本気で焦ったんですからね!」
「ごめん、ごめん。
まさか信じるなんて思ってなかったから。
……それにしてもさっきの瀬戸さんの顔、
怯えすぎでしょ!」
そう言ってまた目尻に涙を浮かべ、
大口を開けて笑いだした相田さん。
……むかつく!
笑いすぎでしょ!
私はふつふつと沸き上がってくる怒りを相田さんにぶつけるように睨む。
「……早く打ち合わせ始めますよ!」
「はいはい。」