レンズ越しの鼓動

「よかった。
これでだめだったら、どうしようかと思った。」


「……どうしようかと思った？」


ふぅと息をついて、
言った相田さんの言葉の意図がわからず、
首をかしげた私を見て、
また相田さんは小さく笑った。


……いつも無表情なのに、
相田さん今日はやけに表情豊かだなぁ。


なんて、馬鹿なことを考えて、
相田さんの言葉を理解しようとしていると、
相田さんは複雑そうな、
困った顔をしながら言った。



「誰かを励ますなんて、
やったことなかったし。」


「え……？」


「そもそも自分以外の人が、
どんな気持ちとか、どんなことをしてるとか、どうだってよかったし。」



感慨深く、俯きながら、
ぽつぽつと話し出した相田さん。


……確かに初めて相田さんと話したとき、
周りに興味ないって感じで、
冷たくて、折れそうになった。


最近のことなのに、
随分と懐かしく感じながら、
相田さんの話に耳を傾ける。



「だからさ、
何を言ったら瀬戸さんが元気になるのかとか
全然わかんないけど、
こんなことであんたが笑うなら、
いくらでもコーンスープ買ってあげるよ。」


「ありがとうございます。
じゃあ、もう一本！」



そう言って、二人で笑った。