アネモネ
胸に、魚の骨が何本も刺さったかのように痛い。
咽せかえるような喪失感と孤独感は口から出ては宙を舞った。
真夏の陽炎のように眩む視界。
目を開けているのが辛くて閉じると、記憶が水となって溶け出す。
泥のように眠って目覚めた朝、3秒後にはまた強い喪失感と孤独感。
――こうして人は死んでいく。
『君には失望したよ。』
身近な人が染まってしまうこんな世界なら
私は期待なんてしない。
私が染まったのか、彼女が染まったのか、私には分からないけど
こんな世界に思う事は何もない。
群なしでは生きられ無い動物。
他人を想い合う"フリ"をする哀れな動物。
今日も彼等は毒を吐く。