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無くしもの
姫様はいつも笑わない。
いつからか笑う事を忘れたかのように笑わなくなった。
きっとあの時からだろう。
僕はそう思う。
「姫をどうかこれで笑顔に...」
見知った紳士から差し出されたのは
たくさんの銀貨だった。
僕はそれを受け取り姫様の元へ運ぶ。
姫は僕からそれを受け取って箱の中を見た途端、顔を歪めて、銀貨を暖炉の方へ放り投げてしまった。
パチパチと燃える暖炉の火はそれを嗤うかのように激しく燃えた。
僕はそれを見つめたまま立ちすくんでいた
姫様はいつも贈り物を受け取らない。
服も、ぬいぐるみも、宝石も、土地も、
金も。
貰う度姫様は顔を歪める、金が送られてきたときが一番悲しいような怒っこったような、曖昧な表情をうかべる。
『白雪、もう出てってちょうだい。』
「...承知いたしました。」
そう言って廊下にでる、そして僕は自分の部屋に戻る。
姫は僕よりかは3~5程歳が離れている
まだ世間から見ればまだ幼い子どもだ。
だが、僕には遥か年上のお嬢様のようにも
感じられた。
何も欲さない事が。
「外、寒いな...。」
館から見える街は、商人立ちが季節の食材を段々並べてきている、珍しい品ももちろん、服だって、それはもう色々。
今は冬に差し掛かるちょっと前ほどの時期
冷え込んだり、暖かくなったりして風邪を引きやすい。
姫、風惹かないかな...心配しながら外の景色を見た。
昔は、姫が外に行きたいと言うので僕と、
"紅人”でよく、館を抜け出し商人たちや職人が集う、あの繁華街へよく遊びに行ったものだ...。
その時姫は凄く笑顔だった。
抜け出した事がバレて3人怒られた後も
『楽しかった!また遊びに行きましょ!』
と、笑顔だった。
ガチャッと部屋の扉を開けると、
「あっ白雪おかえり!」
「......ん。」
”靑夜" と”羅黯"がくつろいでいた。
「ただいま...」
ここは僕と、靑夜と、羅黯とで使っているへやである。
ベッドは2段が1つ、シングルが1つそれぞれ
ベッドの周りは個性がでてる。
靑夜は僕と2段ベッドを使っていて僕が下だ
そして羅黯は1人が好きなのもあってシングルを使っている。周りは本がたくさんある
靑夜のベッドは散らかっている、
僕の方は至って地味だ。だが昔、姫に貰った 七人の小人 のほんが置いてある。
「姫って...いつから笑わなくなったんだろ...?」
「...なにいってる?...。」
「えっ?」
「白雪...忘れたの?姫が笑わなくなった時のこと。」