恋愛図書館
だけど喧嘩してる訳じゃないから、いつも通りの帰宅。
むしろ避けた罪悪感から、朝の事を謝ろうと思ってたのに…
「昨日はありがとうっ」
何事も無かったように、笑顔で本を差し出して来たキミ。
瞬間、昨日の瞬との場面が浮かんで。
突如、ドス黒い感情に支配されて…
バシッ!と、それを払い退けてしまった。
その動作と床に落ちてしまった本に、
ビビりなキミはビクッ!と肩を跳ね上げる。
表情を強張らせて、やたら酷く驚いてる姿に…
すぐにハッと我に返って。
「っ、ごめっ…」
とっさにキミの手を掴むと…
「っ…!ヤっ…!!」
今度は俺が払い退けられてしまった。
俺が悪いから当然なんだけど…
だけど。
拒否られた状況は、ドス黒い感情を追い討ちして…
怒りの炎を、静かに燃えさせた。
ゆっくりと本を拾って、
それを冷ややか目で差し戻した。
「こーゆうの、もう要らないから」