恋愛図書館
とにかく、肝心のプレゼント本に関しても…
結歌から瞬へ、ではなく。
瞬から結歌へ、相談のお礼として渡したもので。

だけどその直後、デートに誘って来た瞬を不審に思った結歌が、断ると同時にそれを返したらしい。

俺が目撃したのはそこかな。


結局は俺にバレてたから、結歌も瞬も洗いざらい話してくれたんだけど…

謝られても、瞬には腹が立ったし。
嘘吐きじゃなくても、結歌には拗ねたりした。


ただ喧嘩の後は、それが甘さを引き立てるスパイスになって…
その夜は、激しい蜜になったっけ。



なんて事を、また思いふけりながら…
再び手元の本をめくった。


今まで何度読み返しただろう。


女性向けを思わせる綺麗で繊細な大人絵本は、少し気恥ずかしいけど…

"楽しくて、切ないけど強くなれる"
仲直りした時に、キミは選んだ理由をそう語ってた。


確かに、透ける仕掛けは宝探しみたいで楽しくて。
でも綴られた言葉達は少し切なくて。
なのに心の背中を押してくれる。


キミは何を抱えて、
どんな強さを求めたのかな…

キミの心を宝探し。
透けるのはまるで、見すごした僅かなサイン。
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