恋愛図書館
「…あれ、…えーと、サイカくん?」
不意に、懐かしい源氏名で呼び掛けられて…
顔を上げると。
「………、っマリちゃん!」
一瞬記憶を巡らせたけど…
瞬 目当てで何回か店に来てたし、結歌の幼馴染だから覚えてた。
「うわ懐かし〜!私よく覚えっ…」
「会えてよかった!
ずっと、連絡取りたかったんだっ…!」
再会の興奮から、思わず話を遮って食い付くと…
少し引き気味のマリちゃん。
「あ、ごめんっ…
1年くらい前から連絡してたんだけど、繋がんなかったから…」
番号は、俺に頭が上がらない瞬から調達してた。
「…あぁ〜、うん、タイミング悪いね。
ちょうど1年間 海外赴任してて、先月帰って来たとこなのっ。キャリアでしょ?」
「そーなんだ!?…すごいね」
「でしょ〜!
それでっ?
連絡取りたかったって、何の用?」
その本題に入る前に、1人なのかを確認して同席を促した。
海外赴任してた事を考えると、結歌の居場所を知ってる可能性は低いけど…
幼馴染みの彼女なら、結歌が抱えてる問題は知ってるかもしれない。